遠回りすると普段見えなかった景色が目の前に広がる。移動距離と比例するように、新しい出会いが待っている。
好きなものを追いかけてどこまででも。
河原町通り沿いの細長いビルの最上階にある『民の物』は、店主の丹波 豊さんがベルギーやオランダ、東欧のルーマニア・ハンガリーなどを旅し、現地の蚤の市や古物店で見つけた古い生活道具を扱う店。窓から大文字山の稜線を望む開放感のある店内には、さまざまな時代・国の古い物が並ぶ。素材や出自こそ違えど、ここに並ぶ商品には統一されたムードが漂っている。
「小学生の頃から古着屋に行って服を買っていたように、昔から古い物が好きで」と丹波さん。年齢とともに古道具へ興味を持ち、蚤の市を頻繁に訪れるようになった。そんな“好き”を突き詰めていくと、行き着いた先はヨーロッパだったという。
古道具の旅はおよそ1ヶ月。山間部の村や、町の蚤の市を巡り、そこで得た情報から次の町へと足を運ぶ。
その移動手段は電車とバス。遠回りするからこそ、新しい出会いがある。