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KITO FOREST MARKET SHIMOICHI

奈良がもっと好きになる複合施設。

人口減少により、過疎化が進む地方自治体。そして少子化に伴い、歴史に幕を閉じた廃校施設。

奈良県の中央に位置する吉野郡下市町も過疎化問題に直面しているなか、昨夏に明るいトピックスが誕生した。

 

舞台は、2023年3月に廃校となった旧下市南小学校。「木と共に、きっと出会える」をテーマに、日本有数の銘木である吉野杉をはじめとした奈良産の木材を用いてリノベーションした『KITO FOREST MARKET SHIMOICHI』は、奈良県、そして下市町が持っている本来の魅力を発信する複合型施設だ。

1Fには、マルシェにレストラン、テイクアウトスタンド、ブルワリー。2Fの旧教室は、それぞれギャラリースペースやワークショップスペース、さらに木材を購入できるウッドショップも。3・4Fはレンタルスペースやシェアオフィスとして機能させた。また、広大な体育館はキッズスペース“WOOD PARK”として活用するなど、学校ならではの特性をフルに活用。

 

木材だけでなく、商品にも奈良県産へのこだわりを宿した。

食材が豊かな吉野地域で採れた、新鮮な野菜やフルーツ、加工食品にいたるまで、

そのほぼすべてが奈良のもので囲まれる。

 

 

 

 

 

  • マルシェでは、吉野や大和高原で育てられたみずみずしい野菜や果物が楽しめるほか、ソーセージやジュースといった加工食品、調味料などもラインナップ。

  • 古都華、あすかルビーといった地元産のブランドいちご、うえもり農園のキウイなど様々なフレーバーを用意。オリジナルのクラフトビール¥1210〜

1F中央のショップエリア。『KITO』オリジナルのウエアや木製のプレート、お土産としてもオススメなクッキーセットなどが並ぶ。

2Fの旧教室は展示スペースとなっており、部屋ごとに様々な作家の展覧会を開催する

キッズスペースとして活用される旧体育館。段差のある遊具は本棚になっており、寄贈された図鑑や文庫本、漫画が多数。こどもはもちろん、大人も楽しめる

  • 下市町の特産である割り箸の端材を使用。巨大な迷路にも地元の香りを漂わせた

地元の素材で“おいしい”を味わう。

1F奥のレストラン『WOOD FIRE DINING』の木材も吉野杉のみで構成。木の温もりが伝わる空間で、下市町をはじめとした近隣の農家から直送される食材をふんだんに使ったピザやパスタなどが味わえる。そして、カトラリーやプレート、その他装飾にいたるまで奈良県内のものを使用するなど、可能な限りの“地産地消”を目指す。

 

美しい空、木々の揺れる音、鳥のさえずり、すぐそばを流れる川の音。そんな自然豊かな下市の風景に溶け込んだ新しい複合施設。

車を走らせて“わざわざ”訪れたい理由がここにはある。『KITO』に到着するまでの空気感もぜひ味わっていただきたい。

厚切りベーコンときのこ、五条市の「さかもと養鶏」の卵を使ったビスマルク¥2,000。モチモチの生地と、厳選された具材のコンビネーションを味わえる。

  • 下市町で採れた季節のフルーツに、イタリア産のブッラータと生ハムを使用。クリーミーかつ、ほどよい塩味とフルーツの甘み、3つが絶妙なバランスに。¥1,800

  • 木材倉庫をイメージしたレストランには、長い歴史とともに育まれた樹齢200年を超える吉野杉の1枚板の大きなテーブルを設置。もちろん購入することも可能

Photo / Shimpei Hanawa

Text & Edit / Masashi Katsuma

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