ヴィンテージの布や衣服を自ら解体・再構築し、そこに絵画を重ねることで、布に宿る記憶を呼び起こし、いまを映し出すような作品を生み出す、濱 大二郎。時代や地域を越えて蒐集した服飾やポスター、オブジェの断片をもとに、
忘れられた文化や思想の痕跡を「声をもつオブジェ」として提示する福井 浩亮。
キュレーションやアーティストサポートとして活動する渡邊 賢太郎のキュレーションのもと、2人の表現者による展覧会「Red Echo / Re:Act|赤の残響と応答」が、大阪・堀江のPulp Galleryにて開催される。
二人の作品はそれぞれ異なる方法で、「過去に耳を澄まし、いま応答する」表現を展開し、やがて「私たちは何を受け継ぎ、何を未来に手渡すのか」という問いへとつながっていく。その交差点に現れるのが「赤」。
国家や革命、怒りや祈り、語られなかった記憶の象徴でもあるこの色が、両者の作品を結びつける鍵となり、根源的なエネルギーとして現される。
「Figure」 Daijiro Hama
H28 × W9 × D6cm
樹脂、アクリル
2025
「when equal for them」 Daijiro Hama
H95 × W89 cm
古布、アクリル
2025
濱 大二郎 / Daijiro Hama
島根県出雲生まれ。神話や寺社文化に親しみながら育ち、各地のトライバルカルチャーや民話、音楽、色彩感覚に影響を受ける。2005年にカナダ・トロントへ移住し、ヴィンテージディーラーを生業としながら、映像制作コレクティブの一員として衣装・美術を担当。帰国後、京都で墨家・吉田礼子に師事し墨表現を学ぶ。2018年からオランダのデン・ハーグを拠点に、絵画やライブパフォーマンスを国内外で発表。日本古来の自然観や自分自身の内面の変化と環境や他者との繋がりをもとに、架空の生物や現象を描き、映像的な絵画表現を試みている。
Instagram : @daijiro.hama
[Libertäre tage,Ostern ’93]
Design by J. Mennicken.
H84 × W59 cm
ポスター
1993年
西インドグジャラート州カッチ地方の遊牧民の工芸
装飾品(ベスト)
H73 × W48 × D2 cm
ハンドメイド
年代不明
福井 浩亮 / Fukui Kosuke
神戸を拠点に、世界各国のヴィンテージファッションやポスター、オブジェなどを独自の視点で蒐集・紹介するヴィンテージショップ〈PUKUI〉と〈Paper store〉のオーナー/バイヤー。時代や地域、文化の背景に深くアプローチし、それぞれのアイテムに宿る思想や社会的文脈を掘り下げながら、テーマ性を持った展示販売のスタイルで活動する。店内での展示構成やブログでの発信は、文化的リサーチと実践のあいだに位置づけられ、表現と生活、過去と現在をつなぐハブのような役割を果たしている。
Instagram : @store_pukui / @paperstorekobe
渡邊 賢太郎 | キュレーター・アーティストサポート
1990年熊本生まれ。2016年より独学で展覧会企画を始め、現在は京都を拠点に、キュレーションやアーティストサポートを行う。近年は、日本特有の精神性や歴史に着目し、「間」や無常観、自然との共生といった日本固有の感性に着目し、現代アートを通じて「現代の日本的美意識とは何か」を再考する展覧会を企画している。主な展覧会に「和を以て物語をなす」(2023/京都・瑞雲庵)、「Paraphrase」(2023/ロームシアター京都)、「和を以て景を綴る」(2025/東京・WALL alternative)。その他、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」(2018–2019)パブリックプログラム・マネージャー、「haku kyoto」(2020–2023)ギャラリーディレクター、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」(2024)、「神戸六甲ミーツ・アート」(2025)でのアーティストサポートや制作コーディネートなどがあ
る。
Instagram : @108artworks_kyoto
「Red Echo / Re:Act|赤の残響と応答」
会期:7月5日(土)- 7月21日(月)
会場:Pulp Gallery(大阪市西区南堀江1-14-14 103)
Open : 13:00 – 20:00
Holiday : 水曜・木曜
入場料 : 無料
主催:108 artworks
※会期初日の7月5日(土)は、15:00よりオープニングレセプションを開催