Feature 12

A New place.
A New BIOTOP

神戸の街を灯す
新しいBIOTOP。



  • Update :

    May 9, 2025

国内外のラグジュアリーブランドに、ボタニカルやフラワー、コスメといったライフスタイルグッズ、そしてコーヒースタンドやレストランを融合。ライフスタイルショップの先駆けといえる複合型ショップ『BIOTOP』は、ファッションとライフスタイルの在り方に変化をもたらせた。去る3月、国内4店舗目となる『BIOTOP』が神戸に誕生。2010年の東京・白金台本店のオープンから、大阪店、福岡店と、BIOTOPのすべてを見続けてきたクリエイティブディレクターの迫村 岳氏が見つけたこの場所で、旧居留地の歴史を纏いながら、新しい景色を育んでいく。そして、『BIOTOP』のアイデンティティのすべてが表現される場所とも言えるだろう。関西では2店舗目となる神戸店。この場所を選んだこと、そして神戸店が目指すこととは。

BIOTOP クリエイティブディレクター / 迫村 岳

 

大阪の『アダム エ ロペ』などのスタッフを経て、2010年にビオトープ東京(白金台本店)の店長に就任。2014年にはアダム エ ロペとビオトープ事業を統括するクリエイティブディレクターに。現在はBIOTOPの事業部責任者とクリエイティブディレクターを務める

偶然見つけた理想の建物。

BIOTOP東京(白金台)の場所にあった『アダム エ ロペ 本店』が20周年を迎えるタイミングで、業態転換を行ったのが『BIOTOP』の始まりとなる。アダム エ ロペ 本店では、基本的に洋服のみの取り扱いであったなか、生活にまつわるあらゆるものと洋服をミックスしたコンセプトストアを標榜。迫村氏は、2010年にオープンを果たした『BIOTOP』の店長として、以降はバイヤーも兼任し、新しいセレクトショップのカタチを形成する。2014年に2店舗目を大阪・堀江に、2018年には福岡・赤坂に出店。「街のランドマーク」として、これまで3つのエリアで路面店を展開してきたBIOTOP。いずれの店舗も立地はターミナル近辺ではなく、わざわざ足を運ぶ場所を選んできた。神戸店も同じく最寄りの三宮駅からは徒歩 約10分の場所。推定1958年に竣工され、その後増改築を行いながらこの街とともに歴史を経た建築物。その躯体はそのままに、BIOTOPならではの新たな息吹をもたらせた。

 

「基本的にBIOTOPが新しく出店する場所は物件ありき。もちろん自分のなかの地図があって、次はこのエリアに出店したいな、という理想みたいなものは持っていますが、その順序についてはあまり意識してなくて。この場所は出張で神戸に来たときに、ちょっと散歩してみよう、と宿泊していたホテルから出てすぐに物件が空いているのを見つけたんです。すぐに管理会社に連絡を取って。ほんと、たまたま、というかすごくタイミングが良かったんですよ。天高の2フロア構成で、これまでのBIOTOPと同じくセクションで見せられる理想の物件でした。周辺の環境もとても良いですしね」。

 

追村氏が見つけたこの場所は、目と鼻の先に芝生の公園、東遊園地があり、某アウトドアブランドやラグジュアリーブランドのショップも点在。神戸のひとにとっては非常に馴染みのあるエリアであり、遠方客からは存分に神戸らしさを感じられる場所である。大阪店のムードとはまた違った心地よさと情緒を感じるこの地で、日本を含む世界からセレクトされた洋服たちのほか、 ナチュラルコスメや生活雑貨、そしてカフェ&レストランを一体化させた。

神戸では唯一の取り扱いとなる《A.PRESSE》。神戸店のオープン記念アイテムのほか、これまで数度の別注を行なってきた

  • 神戸店のオープンを記念しラインナップした《A.PRESSE for BIOTOP》のジャケット¥85,800。本来のデニム地から、ほどよいムラ感に仕上げたヴィンテージチノ素材に変更

  • こちらもオープンと同時期にリリースされた《HYKE for BIOTOP》のフィールドパーカー¥79,200。3色展開のうち、こちらのオリーブは神戸店限定カラーとなる

  • 神戸店の店舗デザイン監修を行った柳原照弘氏がデザインする、デンマークのテキスタイルメーカー《クバドラ》のファブリック“Ame”を使用したキャップ ¥16,500

世界観を味わうこと。

2Fには《A.PRESSE》や《HYKE》、《AURALEE》などの国内勢に、《Jill Sander》、《THE ROW》といったインポート、アイウエアなどを含めると約30ブランドがラインナップ。そして、すべての構成は迫村氏がタクトを振るう。「本店のオープンから15年経ち、おかげさまでBIOTOPらしさ、というのはお客様に浸透してきたと思っています。4名でスタートしたこのプロジェクトも、いまではメンズ・ウィメンズバイヤーやPRも含め、充実したチームに成熟しています。しかし、すべてのBIOTOPが同じではなく、その土地土地に合った商品構成や提案というのは強く意識していますね。世にあるほとんどがオンラインで購入することができるいま、何を買うか、よりも、どこで買うか、という付加価値や、着るひとならではのスタイル、というのがスタンダードになってきている。特にメンズはその傾向が顕著。BIOTOPの根幹は保ちながら、変化させていくこと。それをじっくり見極めながら、新しい可能性を提示できればと思っています」。迫村氏たちが作り上げたBIOTOPならではの“品”。そしてクオリティラインを超えるものだけを世界から集めたセレクトは、実際に見て触れることでその魅力を感じることができる。いつでも欲しいものにアクセスできる便利な時代。しかしその便利さゆえに、モノに対する執着や感情が希薄になってしまうこともあるだろう。店を訪ね、その世界観を肌で感じる。画面越しでは味わえないエキサイティングなことであり、目当てのもの以外の自分が知らなかった世界に出会えるかもしれない。BIOTOPはそんな魅力に溢れている。

 

 

 

  • 1Fから2Fに続く壁面には、スペイン人アーティスト、ココ・カピタンの作品を展示。海をテーマにしたアートで、港町である神戸と高い親和性をもつ

  • 2Fのギャラリースペース。国内外のアーティストが表現する場であり、ポップアップスペースとしての役割をもつ。オープニングイベントでは、韓国人アーティスト2名によるレザークラフトと木工作品のエキシビションが開催された

そして既存のBIOTOPと同じく、1Fにはカフェレストランを展開。その名も『bw BIOTOP』と冠した。“bw”とはBread & Wineの頭文字で、自家製パンのほか、淡路島や明石といった兵庫県産のものを使ったメニューがナチュラルワインとともに堪能できる空間に。

「ほかのBIOTOPもそうですが、レストランの空間やネーミングはあえて統一しないようにしています。例えば、東京のお客様が神戸にいらしたとき、また大阪の方が福岡にいらしたときに既視感が無いよう、メニューもすべて店舗ごとに開発しているんです」。神戸店のメニューは、 東京・日本橋「Neki」や、世田谷代田の「songbook」を手がける西 恭平氏が監修。季節の食材をふんわりと焼き上げたフラットブレッドやパスタ、兵庫の海の幸を使ったサラダなどが味わえるほか、ナチュラルワインも含めて、ほぼ全てのメニューがテイクアウト可能。ショッピングの合間にはもちろん、友人や家族と東遊園地で楽しむこともできる。

 

 

 

  • ワインセラーには数々のナチュラルワインがラインナップ。サンドイッチやパスタとともに愉しみたい

街とともに。

3月のオープンから2ヶ月が経った神戸店。数多のひとが訪れ、BIOTOPの新しい空間を味わったことだろう。

そして“楽しみ”を知れば知るほどもっと新しいものに出会いたくなる。BIOTOPが、追村氏が、この街で目指していること。それは、この街の一部になることだと言う。

「僕たちは“街のランドマーク”をテーマに掲げています。洋服が好きな方はもちろんですが、年齢や性別を問わず、ここを目がけて来ていただけるような存在でありたい。コーヒーを飲みに、サンドイッチを食べに、フレグランスを見に、洋服を買いに。お越しいただく理由はさまざまですが、それにはわざわざ来ていただくことの“楽しみ”が必要不可欠。常にアップデートしていくことを心がけていますね。そして何より街になじむこと。この歴史ある街と建物とともに、ここから見える景色を楽しみたいですね」

 

旧居留地のレンガ作りの街並みに、美しいグリーンのロゴ。

そのコンビネーションとともに、BIOTOPは街のランドマークとして灯りつづける。

BIOTOP KOBE

Address : 神戸市中央区江戸町103番地-1 建泰ビル 1/2F
tel : 078-958-6977 
Open :11:00 – 20:00
Close : 不定休

Instagram : @biotop_official

Photo / Kengo Yamaguchi

Edit & Text / Masashi Katsuma

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