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KYO AMAHARE

五感に響く手仕事と空間。

古いものと新しいものが調和し、さらに魅力が増している京都。いま関西で一番の盛り上がりをみせている街とも言える河原町周辺には、訪れたい店がたくさんある。

 

東京・白金台の「雨の日も晴れの日も心からくつろげるくらし」をコンセプトにした工藝ギャラリー『雨晴/AMAHARE』の新店舗として誕生した『KYO AMAHARE』もそのひとつ。

舞台は築130年を数える広大な京町家。荘厳な建築物の躯体は残しながら、歴史とモダンを美しく融合させた空間で、陶磁器やガラス、漆、和紙、木工など30以上もの作家の作品を紹介する。

 

また、黒谷和紙作家・ハタノワタル氏による和紙の階段を上がった“二ノ階”には、工藝の延長線にあるアート作品を展示するプロジェクトスペース”雨跡/AMART”を展開。

 

その、クラフトとアートの見事な交差に思わず息を飲んだ。

和紙職人・作家 ハタノワタル氏が率いる〈紙漉きハタノ〉が制作した、KYOオリジナル敷板¥17,600。隅切の形状は雨晴の蔵の意匠をモチーフとしており、美しいグラデーションを宿した

  • 猿山 修氏がデザインを行い、新潟県燕市の田三金属がプレスをしたものに、オーダージュエリーやカトラリーを制作する「金工作家」竹俣勇壱氏が古美色仕上げを施しているryoシリーズ。カトラリー 各¥3,080~

  • 漆器産地 石川県・輪島市で、乾漆と呼ばれる布と漆を用い造形する技法で制作された安西 淳氏の壺 加飾 ¥110,000。安西氏は能登の震災により千葉県に拠点を移して制作を再開している

  • 取材時の二ノ階では、フォトアーティスト・Shouya Grigg氏の個展が開催されていた

  • 大阪と徳島の2拠点で作陶する池田優子氏の関守石 ¥69,300。力強くも美しいムードが魅力で、オブジェとしても存在感を放つ

雨を味わい、晴れを待つ。

去る3月末には奥の蔵を改装し、新たに茶房『居雨/KYO』をオープン。

「居雨」の名や「雨と居る処」という概念を雨晴が創出。福岡にある茶酒房「万 yorozu」の茶司 德淵卓氏がその想いを汲んで、雨を感じる空間や演出、おもてなし、お品書きなどを監修した。

 

『居雨/KYO』という名前に、お茶やお菓子をいただきながら晴れを待つ、という意味を込めた店内は、わずかに光が差し込む静けさのなかに雨音が心地よく響く、わび・さびを感じる空間に。

 

ここでは、日本茶とお菓子のコースをメインに用意。お茶は居雨オリジナルブレンドの煎茶をはじめ5種類から選べ、福井市で創業240年を超える菓子匠『昆布屋孫兵衛』の昆布智成氏が作る季節の菓子とともに味わうことができる。

 

日本の手仕事、そして奥深き日本茶の魅力を堪能することができる京都の新スポット。

『KYO AMAHARE』と『居雨』の圧倒的な世界観は、きっと五感を刺激するだろう。

 

ベルガモットのみぞれ羹(写真)など4種類から選べる季節の生菓子。丁寧に淹れられた日本茶とのペアリングを楽しめる

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