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blackbird books

家でページをめくるたび好きになる。

取材に訪れた際に、すすめられて買った本が素晴らしかった。本屋の魅力を語るのに、他の言葉があるだろうか? 住宅街に佇む〈ブラックバードブックス〉。静かな店内には、ときどき学校のチャイムが聞こえてくる。文学や写真が好きだという店主の吉川さんがセレクトする新刊と、吉川さんが信頼できる人たちから買い取る「知らない世界を教えてくれる。ていねいできれいな作りもおもしろい」古本をMIXして並べる。ジャンルはさまざまながら唯一の世界観を持つ本たちは、読み進めるたびに感動がある。同時に、じわじわと本屋の魅力が重なっていく…そんな喜びも。

余韻が心地よい短歌や詩歌も。

まずは、感受性の高い店主による推薦本は見逃せない。小さな本屋だからこそ存在感を持つ、短歌・詩歌が多くラインナップするのも特徴なので、凝った装丁と余白のある言葉の世界に注目してみるのもいい。

 

改めて「本っていいな」と実感できるので、普段本を読まない人にも訪れてみてほしい。どの本も手にとって選ぶ時間も楽しく、連れ帰った後の時間を豊かにしてくれるはず。

  • 月2~5日ほど、不定期のフラワーショップ〈note〉が軒先を彩る。一輪挿しでも絵になる季節の花々は、静かな店の佇まいに調和する

  • 『PUGLIA. TRA ALBE E TRAMONTI by Luigi Ghirri』ルイジ・ギッリ著(2022、MACK)¥9,350。80年代南イタリアの美しさが光る写真集

  • 『ぼくがふえをふいたら』阿部海太著(岩波書店、2020)¥1,870。絵本でありながら、大人も魅せられる神秘的な世界観

  • 『あいたくてききたくて旅にでる』小野和子著(PUMPQUAKES)¥2,970。著者が採訪した東北の民話と体験を丁寧に綴った一冊

  • 『音楽』岡野大嗣著(ナナロク社、2021)¥1,980。短歌の概念を変える現代短歌の第一人者、岡野さんの最高傑作とも言える最新刊

Text : Mio Wajima

Photo&Edit : Yuji Iwai

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