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BUM

村に潜むユートピア。

自分の頭の中を立体的に表現する。それが例えばお店だとしたらどんな考えがめぐるだろう。売れるか、売れないか。ひとが来てくれるか、来ないか。未来への希望と比例するかのように、不安も襲ってくるはずだ。人生と同じでどれだけ強がっても、新しい物事への希望と不安は常に隣り合わせ。しかし、やりたいことを夢中に突き詰めていくと、唯一無二のスタイルとなる。そしてそれに呼応してくれる。街であっても、山であっても。

府内で唯一の村、千早赤阪村に構える〈BUM〉は、養安明朗さん・たみおさん、井上拓耶さんの3人によって作り上げられた。築130年余りの古民家を舞台にした、店主たちの頭の中はとても自由だ。

<BUM>の看板メニュー、ミールスは、ケララチキンや牛モモ肉、イカ、鯖、豆など、メインのカレーは月やその時々で使う素材を変更。¥1,500〜

時間を味わうこと。

レストラン・喫茶スペースでは、本場・南インドをベースにBUM流にアレンジしたミールスをメインに、アラカルト・スイーツなどを提供。メニューは常に研究、一新されるため訪れるたびに新しい味に出会うことができる。ギャラリーでは陶器やアート、生活道具など、テーマを設定し開催。「基本的にはわざわざ遠くから来ていただくので、ここに来る前には想像していなかったようなお店にしたくて。ミールスを食せて、チャイも味わえて、ギャラリーもあって、物販もあって、髪の毛も切れて。外には、縁側もウッドデッキもある。ここの空気とともに、来ていただいたひと、それぞれ思い思いに楽しんでいただけたら」(養安明朗さん)。また、奥にはヘアサロンを併設。カットのみでもゆったりした時間を取り施術される。「一組づつのご案内なので、ゆっくりと過ごしていただきたいですね。レストランに来たのに、ヘアスタイルを変えてくなったから、という方もご対応させていただきます」(ヘアサロン オーナー井上拓耶さん)。

 

圧倒的なスケールを舞台に表現された彼らの自由なスタイル。それを囲む自然豊かな景観。

この場所で過ぎてゆく時間は特別に違いない。そして、次に訪れたときは、もっと新しいなにかが待っている気がする。

右から : ヘアサロンオーナー 井上拓耶さん、レストランオーナー 養安明朗さん・たみおさん、レストランスタッフ ななおろうさん

  • レストランと繋がるギャラリースペースは、時々のテーマに沿い、会期は長いスパンを設け紹介する。

奥のヘアサロンスペース。一組ずつ約90分〜施術時間を設けているほか、サロン内での喫茶も可能で、ゆったりとした時間を過ごすことができる。メニューや料金はホームページにて。

  • 京都の出版社「さりげなく」が刊行する本や、インディペンデントなアートブック「ニューカラー」といった出版物。また、関西をはじめ各地の陶器作家の作品も販売している。

Photo / Shimpei Hanawa 

Text / Masashi Katsuma

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