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cité

パリと古着とコーヒー。

洋服とコーヒー。いまや珍しくないその組み合わせも、異国の風情を掛け合わせるとなんだか新しいものに映った。

 

飲食店や雑貨店など新しい店が続々と誕生している京都・五条エリアにオープンした〈cité〉は、オーナー・吉田明史さんと、台湾・台南出身の林 暖婷さん夫妻が営む古着とカフェの店。以前は写真館だった古民家を改装し、手前にカフェスペース、奥にヨーロッパ古着と器を配した店内は、京町家の歴史を残しつつも、クリーンでモダンなムードに包まれている。

 

服飾専門学校を卒業後、パターンの修行でパリへ渡り、約13年間暮らした吉田さん。パートナーの林さんはフルートを学びにパリの音楽院へ。2人を繋いだ地で買い付けた古着は、バーバリーやランバン、イヴサンローランなどのヨーロッパヴィンテージたちをメインにラインナップ。

 

「昔から古着を集めるのが好きで、時間をみてはパリの古着屋や蚤の市を巡っていたんです。とはいえ今みたいにウィメンズは買い付けていなくて、ほとんどがメンズで」と吉田さん。ひょんなことから、とある百貨店からバイイングのオファーを受けたことをきっかけにウィメンズのヴィンテージにも目を向けはじめた。

扱う古着はどれもコンディション抜群で、ヴィンテージ特有のヤレ感はほとんど感じられない。そしてパターンを熟知しているからこその上質な生地や、美しい縫製のアイテムがセレクトされる。

  • 壁面に飾られた1950年代のパリの地下鉄マップ。交友のある東京の木工職人〈NOTE WORKS〉に額装を依頼した、吉田さんのお気に入り

  • ネイビーの表地とバーバリーチェックの美しいコンビネーション。1940〜50年代の〈バーバリー〉のトレンチコート¥220,000

  • イタリアブランド〈アイスバーグ〉のペイズリー柄オープンカラーシャツ¥16,500

  • フランスをはじめ、イギリスやイタリア製のリングやブレスレットなど、ヨーロッパ古着と相性の良いシルバージュエリーもラインナップ

  • 〈ランバン〉の2000年代初頭のレギュラーカラーシャツ¥16,500。ダメージのないミントコンディション

  • 古着のほか、グラスや磁器といった食器も。ヴィンテージならではの色柄が魅力

畳の上にレイアウトされたフランスメイドのヴィンテージ花器。飾るだけで暮らしを鮮やかに彩る

台湾のエッセンスを、ひとさじ。

カフェを担当する林さんは、フルートのレッスンの合間に飲むコーヒーが癒しの時間だった。そして、ノルウェー・オスロの旅でスペシャルティコーヒーに出会ってからはその魅力に傾倒。以来コーヒーに関することをひたすらに学んだ。

 

中南米やアフリカ産の豆を自家焙煎した7種のコーヒーはどれも雑味がなく、口当たりがいい。

 

また、季節のストロベリーラテやアイスティーのほか、林さんの故郷で愛される台湾茶やパイナップルケーキなど、

パリと台湾を合わせた2人の“好き”が垣間見れるメニューも。

 

古着を見に。コーヒーを飲みに。

そんな洋服とコーヒーの美しい関係を味わいに、また来たくなる。

ホンジュラスやコロンビア、エチオピアなど常時7種類の豆を用意し、毎日2Fで焙煎する。コーヒー¥570〜

  • 林さんの故郷・台南で愛されているパイナップルケーキをアレンジした自家製マドレーヌ¥390。パイナップルのほんのりとした酸味と、ケーキの甘味の絶妙なバランスが楽しめ、コーヒーとの相性も抜群

  • カフェスペースのテーブルや椅子はすべてフレンチヴィンテージ。柔らかい自然光が店内を照らす

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