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MISENOMA

頭のなかを見せる間。

鰻の寝床のような長細い京町家にみられる、通りに面した一番目の部屋ことを“見世の間”と言う。

ひとに見せること、また見られることを意味するその部屋は、店主ならではのセンスが如実に表される場、とも言えるだろう。

 

JR亀岡駅から歩いて約8分の場所にある『MISENOMA』。もともと茶屋であった築120年以上の町家をリノベーションした空間に、店主の中濱雄斗さんがセレクトした日本各地の民藝品、日本製のヴィンテージ、ヨーロッパメイドのオブジェなどが見世の間を彩る。

 

生産国や誕生した年代など、一見すると和洋折衷、古今東西のジャンルレスなセレクトに映るが、どこか統一されたかのような不思議な空気が漂う。

 

その“不思議さ”こそが『MISENOMA』の魅力なのだ。

 

 

 

 

 

  • 岡山県・倉敷の羽島焼や倉敷青木窯、沖縄のやちむん壺屋焼など、各地に足を運び選んだ民藝たち

  • 80年代に発売された象印の魔法瓶“BEAT”[デッドストック] 各¥8,800。メンフィススタイルのユニークな形状とカラーリングの、とても愛らしいデザイン。

  • 使い古したサリーや古布に刺し子を施したラリーキルトを使用。インド製のヴィンテージキルトバッグ各¥4,950

滋賀県長浜市で作陶する七尾うた子氏のオーバル皿¥8,800。抽象画を思わせるような、温もりを感じる作風が魅力

バランスを愉しむ。

古いから。海外製だから。ということではなく、MISENOMAが大事にしているのはモノを並べたときのムード。

 

「元々アパレルだったこともあり、新しいもの、古いものであったりをあまり区別していなくて。ひとくちに民藝と言っても、土地土地の民藝ならではの違った良さがあるし、工芸品にはその良さがあります。アンティークやヴィンテージもそうで。すべてはバランスだと思っています」と中濱さんが言うように、全く出自が異なるものでも、色やカタチの組み合わせで不思議なバランスが生まれる。

 

その組み合わせを想像することが、毎日の暮らしを愉しくしてくれるだろう。

  • イタリア、チェコ、ウクライナ、スペインなど、主にヨーロッパメイドのオブジェたち。日本とはまた違った色彩が魅力で、飾るだけで部屋のムードを変えてくれる

  • 神奈川県・箱根の伝統工芸品として作られた山中組木工房の組木パズル。現在は生産されておらず、入手困難な逸品。写真のキリン以外にもゾウやライオンなども

  • 某レジェントプロ野球選手の写真を反転し、2版刷りしたポスター¥5,500。こういった遊びを感じるセレクトがおもしろい

  • 店の解体で出たヒノキの柱を再利用し制作した《MISENOMA》のオブジェ¥4,400。チューリップをモチーフにしており、花器に挿したり、壁に立てかけたり、と様々な場所に彩りを与えてくれる

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