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NOTA_SHOP

信楽の地で知る、「空間」の美。

日本屈指の焼き物の産地、信楽で、異彩を放つ場所がある。広大な倉庫を改装してオープンしたのが5年前、〈ノタショップ〉は半分がショップでありながら、同じ(いやそれよりも大きい?)スペースの工房を構えている。圧倒的なスケールでものが大胆に、センス良く並ぶさまは、他のどこでも見たことがない。

 

「信楽は、粘土の特性から大きいものを作るのが得意。例えば、銭湯にあるつぼ湯などの陶器浴槽のほとんどは信楽焼なんです」と代表の加藤さん。実際、自社工房で制作する作品は、スツールなど大きなものであることも特徴だ。しかし実用品として知られる信楽ではなく、その大きさが持つ存在感などを生かして、ひとつあるだけで空間が豊かになるような、信楽のアート的要素を見出した。

彫刻作家、大村大悟さんの木製オブジェ。一点一点樹種が異なるため姿形はさまざま。¥4290~

  • 筒のようなデザインと釉薬の艶が特徴。オリジナル作品は、他では見ない大きなサイズを制作する。スツール〈TONNE〉¥33,000

これからくる、ずっと残るものを。

ロンドンで映像グラフィックを学び、東京の広告代理店に勤めた後、生まれた地に帰ってきたという加藤さん。自社作品と独自の視点で集めた物は、その存在感が余白の美しさを引き立たせる。セレクトは「古い海外のものから、信楽以外の焼き物までいろいろ。現行物は、守りに入らず、戦っている人のもので、50年、100年後にも残りそうなおもしろいものを選んでいます」。この広々とした空間のように、加藤さんの視点は常に俯瞰している。それにしても大きい。このスケールは、画面では伝えきれない。

撮影、デザイン、印刷、製本まですべてを自分たちで行ったZINEも販売。『NOT_A』¥2,420

  • 店内に併設するカフェコーナーでは、オリジナルの作品を実際に使いながら楽しめる。発泡釉を使用した湯のみ〈NO_TO cup〉¥4,180

  • 店の奥に併設される工房。広い空間には制作途中のプロダクトがずらりと並ぶ

Text : Mio Wajima

Photo & Edit : Yuji Iwai

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