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DORSIA

アートを憩う。

まっ先に目に入る、平山昌尚さんのゆるいイラスト。だからお店を出ても、あのクスッと笑えるテンションが続く。アートは、ここまで近くなれるのか。

 

〈ドーシア〉は、三宮のとなり、二宮に位置する喫茶店。映画『アメリカンサイコ』の会話(のみ)に出てくるレストランの名前を掲げていて、Macの標準フォントの適当さもいい。とにかく存在自体がユーモアだ。

 

提供するのは、クリームソーダやナポリタン、ホットケーキと、ルックスからして喫茶店の枠から外れることのないザ・定番なメニュー。真っ青な絨毯やレトロな内装、昭和歌謡曲のBGMなども、どこかエンタテインメント性をはらんでいる。

ドーシアの絨毯と同じ、鮮やかなブルーが目を引く名物ドリンク。セリナクリームソーダ¥600。グリーンのクリームソーダもあり

  • アーティストのステッカーも販売。定番の平山昌尚3枚¥550、ヘブン バイ マーク・ジェイコブスでデザインを手掛けるancco1枚¥650

神戸っ子らしい、ゆるさの狭間で。

オーナーは、もともと向かいのコーヒー豆屋さん〈コバルト〉に通っていたところ、斜め向かいの元床屋の物件が空いているのを見て、開店を思いついたそう。アーティストの平山さんは、実は地元が同じ先輩。店内でいい味を出しているゲームテーブルや椅子は、たまたま行きつけの喫茶店が閉店するタイミングで譲り受けたという。偶然や肩透かしをくらうような軽さでできているのに、全体的にセンス良くまとまっていて、コーヒーや食事のクオリティも標準を超えていくのがおもしろい。狙っているようで狙っていない、神戸っ子特有の天然さと寛容さが、心地良さのベースなのかもしれない。

 

ここでしか買えない平山さんのトートバッグなど、(昔の映画館のような)グッズコーナーも見どころ。窓の外のローカルな風景を眺めながら、お茶もアートも、一緒に楽しんでみては?

  • コーヒーはもちろん、開店前から通うお向かいの〈コバルト〉で焙煎。深煎りで、酸味が控えめなので口当たりはマイルド。ブレンドコーヒー¥450

  • 平山昌尚さんによるイラストがバックに描かれたTシャツ各¥5,500。Tシャツはサイズや他デザインも豊富で、パーカーや小物類も並ぶ

  • “ザ・喫茶店”の期待を裏切らないふっくらとした生地。ほんのりとした甘さが広がるホットケーキ¥600。コーヒーとの組み合わせも最高

  • ドリンクはテイクアウトもOK。anccoさん、平山昌尚さんのイラストが描かれたカップで提供してくれる。テイクアウトコーヒー(HOT/ICE)¥550

Text : Mio Wajima

Photo&Edit : Yuji Iwai

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